ブログ<原典からの出発>(<心のテープ>改め since2009.12.16)

天理市から発信する 教内外の情報満載のブログです。 10年前から開設しているHP<天理と刻限>の姉妹版として、 原典と現実をむすぶ「理」の情報を提供します。

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大義を貫いた根本司令官

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 戦争のテーマ続きで恐縮だが、もう一度だけ是非お伝えしたい実話がある。前回に報告した「大淀町の戦争語り部」について取材を続けている過程で、語り部の1人・森勝彦さんから根本司令官の話を聞いた時は目からウロコの思いであった。
 元・大淀町の町長であった森さん(78歳)は、終戦を内蒙古の張家口という町で迎えた時は13歳の少年だった。終戦直前にソ連が日ソ中立条約を一方的に破棄して参戦し、蒙古や満州に侵入して略奪暴行を加えたことは周知の事実である。そうした情報が、森さんのいた張家口の町にも伝えられてきた。その時、その町には約4万人の日本人が集結していた。
 
 張家口のある内蒙古の防衛軍司令官・根本中将は、4万の在留邦人が無事脱出するまでソ連軍を迎え撃つ覚悟を決めた。当時13歳の森さんたち中学生も、その防衛軍に編入して家族を守るため最後まで戦う決意を固めていた。
 ところが日本の参謀本部からの電報では、速やかに武装解除して帰国せよとの命令が出ている。ついに根本司令官はその指令を無視してソ連軍の侵入を阻止することに意を決して、日本と送受信できないように無線通信機を破壊してしまう。
 やがて侵入してきたソ連軍4万2千に対して4千人の日本軍は必死の防戦を続け、張家口の日本人は全員脱出に成功する。その壮絶な戦いの中で日本軍には81名の尊い戦死者が出た。
 
 以上、森さん自身の体験を交えた実話を聞いて、日本軍にもそんな立派な司令官が実在したことを知って感動した。その根本中将の伝記が今年出版されたと聞いて、ぜひ読みたいと思い、『この命、義に捧ぐ』と題する伝記(門田隆将著/集英社)を図書館で見つけて早速一読した。
 その伝記によれば、最後に張家口から中国へ脱出した根本将軍は中支方面司令官となり、中国に残留する35万に上る日本軍を無事帰国させるため、当時の国府軍・蒋介石総統と交渉する。その結果、総統は日本の将兵に危害を加えることを禁じ、帰国の安全を保障する寛容な措置を約束され、今度も全軍将兵を日本に送還した後で根本司令官も帰国した。
 
 ところが日本軍を安全に帰国させてくれた恩義のある蒋介石は、共産軍(八路軍ともいう)の毛沢東に敗れて台湾に脱出する結果となる。その運命を黙視できなくなった根本将軍は、自分の一命を捨てて恩義に報いるため、腹心の部下数名とともに小舟で台湾へ密航を企て、危うく漂着する。そして蒋介石総統の歓迎を受け、非公式の軍事顧問の立場で中共軍との最後の決戦に勝利し、金門島を台湾領として守り抜く。
 
 著者の門田氏は、伝記の「おわりに」の一文で、恩義に報いようとした将軍への敬意をこめて次のように記している。
<威張り散らし、権威を笠にきる軍人が少なくない中、根本さんはそれとはまるで正反対の人物でした。そして、根本さんが敵将の中国人とすら心を通わせ合うような人物だったために、多くの在留邦人の命が救われました。
 しかも、根本さんは、その時の恩義を忘れない人でありました。
「終戦時百万の将兵を無事帰国させてくださった蒋介石総統に、私は日本人の一人として万分の一の御恩返しをしたい」
 それは、無事復員してきた根本さんの口癖でもありました。(後略)>
 
 根本将軍の行動を教えて下さった森勝彦さんから聞いた戦争体験の証言は、<特集=大淀町の戦争語り部>の1篇として次のページに掲載されている。それを読むと、終戦直後の内蒙古・張家口の戦いについて、さらに詳細な情報を得ることができる。
「森勝彦さん 内蒙古からの脱出」
 
 最後に念のため、私が根本司令官の行動に感動したからといって、戦争そのものを肯定しているわけではない。映画の西部劇や時代劇が好きだからといって暴力や武力を賛美しているわけではなく、真善美や義侠心を描いたストーリーに心を打たれるからであろう。その証拠に、最後に切られたり撃たれたりして死ぬのは悪者に決まっている。
 数百年前の昔と違って現代では、個人対個人、国内では地方対地方が暴力を使って抗争することはできない(今でも内戦を続けている国は別として)。国対国は今でも武力にものを言わせている。しかし、人類が進歩(心の成人)すれば、これからの時代には、武器を使わずに大義を貫くことが大事ではないかと思う。ノーベル平和賞の受賞者は時代に先駆けて、非暴力で平和を守る功績を挙げた人物に違いない。
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今年(2016)8月4日に朝日新聞の取材を受けて記事と共に掲載された近影です。記事については8/15更新のブログを参照してください。今年84歳にしては若く見えるでしょう?

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