ブログ<原典からの出発>(since2009.12.16)

天理市から発信する 教内外の情報満載のブログです。 10年前から開設しているHP<天理と刻限>の姉妹版として、 原典と現実をむすぶ「理」の情報を提供します。

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広瀬 隆 著『原子炉時限爆弾』を読む

 この優れて科学的な予測の書は、3・11福島第一原発の事故発生からちょうど半年前に出版された。その「序章 原発震災が日本を襲う」のはじめに次の文章が出ている。
<1986年4月26日に、ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所で原子炉を吹き飛ばす爆発事故が発生し、すさまじい大事故による放射能汚染の恐怖を味わった全世界では、そのあと原子力産業は一気に衰退の一途をたどってきた。
 ところが読者が最近の報道に接していればお気づきの通り、新聞とテレビのニュースに「原発建設推進の動き」が驚くほど増えてきている。ここ数年、二酸化炭素による地球温暖化説が「環境保護」の代名詞となった世情のもとで、斜陽産業化していた原発がテレビコマーシャルで「クリーンエネルギー」としての復活宣伝を展開するばかりか、九州佐賀県の玄海原発と四国愛媛県の伊方原発で原爆材料プルトニウムを大々的に利用するプルサーマル運転が開始された。加えて、1995年に事故を起こして14年以上も冬眠していた高速増殖炉”もんじゅ”が運転を再開したのが、この2010年の現状である。(以上は福島原発事故以前に発表されたことに注意されたい)
 さらに2010年6月18日に政府が閣議決定した「エネルギー基本計画」では、2030年までに原発14基以上を新増設する計画を打ち上げ、現在60%台まで急落している原発稼働率を90%に引き上げる方針を掲げている。新生した民主党政権は、これを強力に支援して、自民党政権時代より猛烈な原発推進の姿勢を打ち出している。冬の時代を乗り越えた原子力産業が、春の陽光を浴びて、このあと20年内には、夏の果実を稔らせるかのような錯覚を日本人が受けている。
 そう、実は、これらはみな、大きな錯覚にすぎないのである。「原発建設推進の動き」も、「環境保護」も、「クリーンエネルギー」も、これから本書でくわしく述べるように、現実離れしたストーリーである。なぜこのように新聞・テレビのニュースに、「原発建設推進の動き」が躍動するかと言えば、事実を知らずに、事実を調べずに、報道界が原子力産業の言葉を受け売りしているからである。それらは既定の事実ではなく、宣伝文にすぎないのである。それどころか、原子力産業が突進しようとしているこの先には、まったく報じられない、とてつもなく巨大な暗黒時代が待ち受けているのだ。その正体は、想像したくもないが、人知のおよばない地球の動きがもたらす「原発震災」の恐怖である。>
(同書3~4頁)

 かくて著者が科学的な事実をもとに警告した「原子炉時限爆弾」=大震災は、まさに半年後に発生した。にもかかわらず4年後の今、過去の事実から学ぶどころか事実が無かったかのごとく、安倍政権は原発再稼働を推進しようとしている。
 原発事故はチェルノブイリや福島だけではない。アメリカの空想映画「チャイナ・シンドローム」は、公開の直後1979年3月28日にスリーマイル島原発2号機で、映画を地で行くように原子炉が溶け落ちるメルトダウン事故が起こった。しかも今日まで現地の真相を知らない人々は公式の事故報告書を鵜呑みにして「被害者は出なかった」という誤った情報が流布している。その実、「最後の防壁となる格納容器の爆発の危険が高まりニューヨークやワシントンを含む東部が壊滅する国家的危機が迫ったため、爆発を防ぐために内部の放射能を大量に外へ放出することによって、かろうじて末期的な大惨事を免れた」という。「その放射能放出のため州都のハリスバーグがパニックに陥って、母親たちが乳飲み児を抱いて逃げまどい、原発周辺では次々と目を疑うような植物の不気味な異常や、住民の白血病、癌の大量発生が起こって、それを州政府とアメリカ政府が今日まで隠し続けてきた」(10頁)
 さらに1960年当時、科学技術庁の委託を受けて日本原子力産業会議が提出した極秘文書「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」は、あまりにも恐ろしい被害が予測されたため、国家ぐるみで政府はその報告書を闇に葬った。その国民をあざむくやり方は戦争中に軍部が国民に必勝神話を信じさせて悲惨な特攻作戦を実行した歴史の繰り返しに等しいことも著者は明らかにしている。
「大事故があれば発電所内の電源系統が断絶され、同じ敷地内に林立する原子炉が連鎖的に事故に巻きこまれると予測される」(17頁)という一節は、4年前の3・11に現実となったが、「大量の放射能が日本全土を覆って被害額では楽に数百兆円を超える」予測より少なかったのは、天佑神助というべき奇跡的な偶然であったことも知られている。しかも張本人の電力会社は、秘密報告書の試算通り被害額100兆円を超える補償はできないとして1200億円以上は賠償責任を免除されることも法律で定められている。

 序章につづく第一章 浜岡原発を揺るがす東海大地震、さらに第二章 地震と地球の基礎知識 に読み進むと、いかに日本国民の一人としての自分が無知であったかを思い知らされる。「地球は生きている」「プレート運動とは何か」「大陸移動説」「日本列島はどのようにして誕生したか」……等々、第二章の項目だけは知っているつもりでも、その体系的な基礎知識はテレビや新聞などから得ることは難しい。
「地球は生きている」のは決して地上の動植物だけではなく、地下の鉱物も文字通り生き物であるという。その実態は地球の内部構造を解明した図解を見れば一目瞭然となる。(リンク=地球の内部構造・物質による区分=同書103頁より)
 http://www.geocities.jp/shougen60/bromaga/hirose-1.jpg
 地球全体からいえば紙のように薄い「地殻」、地球を卵に例えると卵の黄身にあたる灼熱の「コア」、その上を包んで地熱の対流を起こす「マントル」、対流によって発生する「地磁気と磁場」そしてコアやマントルのとてつもない「重力」これらの相互作用による「プレート運動」が地震の原因となる。
 しかも一世紀前に説かれはじめた大陸移動説が今では真実と判明して、元は一つの大陸しかなかった地球が現在のような形に分裂・移動・成長・拡大したことも「プレートテクトニクス」として理論的に解明されている。(110~114頁の図解を含む)
http://www.geocities.jp/shougen60/bromaga/hirose-2.jpg
 しかも日本列島は造山活動によって海底から盛り上がって生まれた島で、地質学的にヨーロッパ大陸などと比べて最も新しく岩盤が柔らかい特徴をもち、活火山の多い特徴がある、その代わり至る所に温泉が湧き、周辺の海底には石油に代わる燃料の宝庫メタンハイドレードが埋もれている。
 ところが前述の大陸移動説を基礎とするプレートテクトニクス理論が完成して世界から認められた1968年の9年前に、日本最初の原子炉の建設が東海村で始まり2年後には完成してしまった。その後に設立された日本政府による原子力委員会は新しい理論を無視し、原子炉建設の立地審査の条件として地震の多発場所を禁止していない。これは驚くべき無知無策というか故意の隠ぺいと言われても仕方がないだろう。
 以上の前提に立って、目次は第三章 地震列島になぜ原発が林立したか第四章 原子力発電の断末魔 へと展開するが、あとは広瀬氏の講演あるいは著書で確かめていただくことを願うばかりである。(いずれ後日に公開講座の報告をブログで発信するつもり)

(付 記)
 ここで、原典研究会のメンバーから提供されたデータを紹介したい。それは東京新聞(2015年5月27日付朝刊)に掲載された記事で「ツバメの巣にセシウム/福島事故の影響、13都県から」というタイトルになっている。
 http://www.geocities.jp/shougen60/bromaga/tubamenosu.jpg
<東京電力福島第一原発事故後の2011年11月から翌年3月までに採取した13都県のツバメの巣から放射性物質が検出されたことが、山科鳥類研究所(千葉県我孫子市)の調査で分かった。ツバメの繁殖行動に変化がないかなど調べる。
 同研究所は、野鳥愛好家らに11年中に繁殖が確認されたツバメの巣の収集を呼びかけ、北海道から九州にわたる21都道府県から計197個を集めた。
 巣に含まれる放射性セシウムの濃度を測定すると、福島第一の約370キロ圏内に位置する13都県の150個から事故で放出されたセシウムが検出された。
 福島県内では、集めた92個すべてから放射性セシウムを検出。セシウムの平均濃度は1㎏あたり7502ベクレルと13都県の中で最も高く、最大で9万ベクレルだった。次いで高かったのは千葉県で平均3210ベクレル、最大で1万2900ベクレルだった。平均で最も低かったのは山形県の36ベクレル。
 放射性物質に汚染された稲ワラや下水汚泥などは、8000ベクレルを超えると指定廃棄物として国が処理する対象となる。ツバメは泥やワラを使って巣を作るため、巣近くの土壌汚染を反映したとみられる。
 調査した岩見恭子研究員は、12年以降に採取した巣で濃度の変化を調べる。「原発事故と鳥の関係を調べた研究は少ない。繁殖への影響も記録していきたい」と話した。(三輪喜人)


 もう一件、台湾が日本から輸入した食品の品種と含有放射性物質の濃度との対応を調べて表示したデータもあるが、その原料がどこの地域や海域で収穫されたのか不明なので、ここで紹介することは差し控えたい。ただ緑茶、緑茶粉、玄米緑茶、緑茶ティーバッグは世界基準で「ドラム缶にコンクリ詰めにして厳重に保管する必要」とされる「100ベクレル/kg」を超えていることに注意したい。

(大事なお知らせ)
 今月25日の月例会は、以前から提案しておりますように、同日同時刻に開催される公開講座に合流して、その講演会の会場に席を移すことになっていますので、ご了承ください。詳しい日時・会場・講師・演題については添付のチラシをクリックして確認してくださるようお願いします。
 公開講座 第四回「原発問題」を考える市民の集い
 日本をとりまく現今の国際状況と原発問題



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Author:植田義弘
今年(2016)8月4日に朝日新聞の取材を受けて記事と共に掲載された近影です。記事については8/15更新のブログを参照してください。今年84歳にしては若く見えるでしょう?

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