ブログ<原典からの出発>(<心のテープ>改め since2009.12.16)

天理市から発信する 教内外の情報満載のブログです。 10年前から開設しているHP<天理と刻限>の姉妹版として、 原典と現実をむすぶ「理」の情報を提供します。

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「目からウロコ」? の情報

 その情報の出典は、角川ONEテーマ21新書の1冊『日本を追い込む5つの罠』(カレル・ヴァン・ウォルフレン著)で、著者はオランダ人のジャーナリスト。1970年代から特派員として日本に滞在し、わが国の特殊な政治経済システムを分析した著書で知られている。その後オランダに帰国してからも、客観的な視点で日本へのアドバイスを発信しつづけている。
 最新刊された上記の本で、何より重要な原子力発電に関連する章の一部を読んでみよう。

<原子力発電の分野での既得権者たちは、「原子力村」というどこかロマンチックな響きのあるあだ名で呼ばれる。彼らがどんな結びつきか、どのように行動するか、相互にどのようにかかわり合っているかは傍目にもはっきり理解できる。それは確固たる機構といった様相を呈しているのである。
 これまで数十年にわたり、原子力行政をつかさどる経済産業省内の資源エネルギー庁の幹部は、役所を引退すれば東京電力の副社長というポストを当てにすることができた。東京電力関連事業は100社を超える。さらに原子力発電の安全にかかわる公的機関、あるいは半官半民機関もある。この産業を監督する高官も多くは、天降りでこうした機関にポストを得る。
 東京電力の社員に関して述べるならば、その労働組合は、日本の労働組合の全国中央組織・連合こと日本労働組合総連合会のメンバーである。連合は民主党に相当額の政治資金を寄付しており、そのトップの地位にある人々はときに民主党内閣の諮問機関のような役割を果たすこともある。他の電力会社の組合も原子力発電についてのプロパガンダを行うが、それは彼ら面々のポストがかかっているからだ。
 しかしこうした状況のすべてが民主党政権にとっては、原子力エネルギー産業の影響力を削ぐような政策を打ち出そうにも、その妨げになっている。
 産業団体ももちろん既得権側に立つ。原子力村は経済団体連合会に多くの役員を送り込んでおり、金融製造業界の大手企業もまた、原子力エネルギーが日本の将来の主要な電源であり続けるものと見込んできた。……>

 長い引用になったが、大事なところなので、もう少し続けることにしたい。
<原子力行政に追従するトップクラスの大学に勤務する教授や研究者たちは、原子力村に「科学」を持ち込むが、それは学者たちにとっては資金提供を確実にする方法のひとつである。また原子力関連企業や機関に、アドバイザーといった居心地のいいポジションを得ることも期待できる。
 東京大学の教授たちは、東京電力の主張の熱心な支持者として悪名高いが、それは主流派メディアも同じである。記者や編集者たちが直接、あるいは記者クラブを通じて自分たちが報道する対象と密接な関係を築くという、望ましからぬ伝統はいまなお続いている。
 かくして電力10社は競争相手もなければ、宣伝活動も必要ないままに、市場を地域割で独占できるのである。ただしこの業界は日本では最大の広告主のひとつでもある。
 彼らを上回る既得権者はアメリカの軍産複合体を除いては、世界では他に類を見ない>

 それでは日本が原発の再稼働という袋小路へ迷い込まずに、起死回生できる前途はどこにあるのか。著者は次のように提案している。
<いまここで考えてみたいのは、エネルギー生産において、太陽光発電が他のあらゆる選択肢を決定的に凌駕するような先進技術を生み出すため、大掛かりで、徹底した、集中的な取り組みに、日本が投資を行う可能性である。懐疑的な人々は、そんなのは夢物語にすぎないと言うかもしれないが、これは実現可能なビジョンである。日本は世界に先駆けてこれを実行する可能性がある。
 莫大なコストのかかる巨大プロジェクトに投資しても、民間企業を牛耳る人々が満足することはないだろうから、こうした企業が十分な投資をするとは考えられない。月面着陸も民間部門がなし遂げたわけではない。それには政府が真剣に尽力する必要がある。
 明治維新直後、そして第二次世界大戦後、日本政府はひたむきに努力した。そして官僚と民間企業が一体となって産業面でめざましい成果を挙げ、世界を驚嘆させた。バブル経済自体が、日本では政府官僚と、企業幹部、さらに関連団体すべてによる包括的な協力が、なおも成果を挙げ得ることを証明していた。
 もしこうした連携体制が太陽エネルギーの先端技術開発と、その産業面での実用化支援に乗り出せば、現在、投資によってもたらされ得るいかなる資産にも増して、はるかにすぐれた成果を日本は手にすることができるだろう>

 この本の最後の章では、欧米の現状に対する鋭い分析が続く。
<アメリカやヨーロッパは生活の質の点でも、将来への見通しにおいても、国民の希望や期待を大きく裏切るようなレベルへと転落してしまった。これらの諸国は第二次世界大戦以来もっとも深刻な危機に見舞われている>
<日本は大西洋の両岸に起きたような事態にはまだ見舞われてはいない。しかしその(日本の)エリートが、苦境に陥った欧米諸国の余波を警戒しようともせず、いまだに失われた過去の世界に生きていることを考えれば、やはり危険な状態にあると言える。
 10年ほど前まで、日本がかかわり続けてきた国アメリカはもはや存在しない。言い換えるならば、それほどまでにアメリカという国家は急激な変貌を遂げ、かつてのアメリカではなくなってしまった、ということだ。……>

 明治以前から切っても切れない関係にあるアメリカが変わってしまったのは何故か? その原因と実態を知ることは日本の将来に重要な影響を及ぼすに違いない。が、あまり長くなるので、具体的な事実については次回で紹介することにしたい。

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今年(2016)8月4日に朝日新聞の取材を受けて記事と共に掲載された近影です。記事については8/15更新のブログを参照してください。今年84歳にしては若く見えるでしょう?

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